記事内容
「モラルハラスメント」という言葉を耳にしたことがありますか？
DV（家庭内暴力）の一種でありながら、身体的暴力と違い、言葉や態度による精神的な虐待を指します。この問題は、表面化しづらいだけに被害者自身が認識しにくく、相談先を見つけるのも難しいことがあります。この記事では、モラルハラスメントの特徴や被害の実態、そして法律や対処法についてストーリー形式で解説します。
モラルハラスメントとは？
まず、「ハラスメント」とは嫌がらせを意味します。職場での「セクシャルハラスメント」や「パワーハラスメント」といった言葉は広く知られていますが、「モラルハラスメント」はまだ理解が十分とは言えません。
特徴と定義
モラルハラスメントは、次のような行為を指します：
- 言葉や態度による精神的な嫌がらせ
- 相手の人格を否定する発言や態度を繰り返す
- 被害者の心を支配し、自尊心を傷つける
加害者はしばしば自分の行動を正当化し、相手に「お前が悪い」と責任転嫁します。このため、被害者自身が状況を異常だと気づけないことが少なくありません。
モラルハラスメントの実態
目に見えない虐待
身体的な暴力と異なり、モラルハラスメントは目に見える傷跡を残しません。そのため、周囲からは「単なる意見の相違」や「性格の不一致」と見られがちです。さらに、加害者が外面を取り繕うことで、「良い夫（妻）」と周囲から評価されることもあります。
被害者への影響
- 自尊心の低下：繰り返される否定的なメッセージにより、「自分はダメな人間だ」と思い込む。
- 精神的なダメージ：鬱状態や不安障害を引き起こす可能性。
- 孤立：相談しても「あなたにも問題があるのでは？」と言われ、孤独感が強まる。
具体的な行動例
モラルハラスメントに該当する行動には、次のようなものがあります：
1. 言葉の攻撃
- 「お前は何をやってもダメだ」
- 「こんなことも分からないのか」
2. 精神的なコントロール
- 相手の行動や交友関係を制限する。
- 経済的に依存させ、自立を妨げる。
3. 無視や冷たい態度
- 話しかけても無視する。
- 気分次第で態度を変え、被害者を混乱させる。
法律で守られる権利
モラルハラスメントは、DV防止法における精神的虐待に該当します。被害者が適切な支援を受けるためには、以下の法律や制度を理解することが重要です。
1. DV防止法
- モラルハラスメントもDVの一種として保護の対象。
- 住居や身の安全を守るための保護命令を裁判所に申請可能。
2. 離婚時の慰謝料請求
- 精神的苦痛に対する慰謝料を請求できる場合があります。
- 証拠として、加害者の発言や態度を記録しておくことが有効。
3. 児童虐待防止法
- モラルハラスメントが子どもにも及んでいる場合、児童相談所や警察に相談可能。
モラルハラスメントに気づいたら
1. 状況を記録する
被害を証明するために、以下のような記録を残しましょう：
- 加害者の発言や態度をメモする。
- 証拠として写真や音声を保存する。
2. 専門家に相談する
- 弁護士や行政書士、カウンセラーに相談し、適切な対応を模索しましょう。
- DV相談プラスや地域の相談窓口を利用することもおすすめです。
3. 必要なら安全な場所へ避難
身の安全が脅かされる場合は、ためらわずに避難所や友人宅へ避難しましょう。
まとめ：モラルハラスメントを放置しない
モラルハラスメントは、被害者の心に深い傷を残す精神的虐待です。そのまま放置すると、精神的な健康を損なうだけでなく、生活全体に悪影響を及ぼします。
- モラルハラスメントとは？ 言葉や態度で相手を支配する行為。
- 被害者の影響：自尊心を傷つけ、鬱状態に陥る可能性。
- 対策：証拠を残し、専門家や相談窓口に相談。
一人で悩まず、専門家や周囲の支援を受けながら解決を目指しましょう。
